就任100日を迎えたトランプ政権が今後の相場に与える影響を考える
こんにちは。『暴露板』管理人の石橋です。
2017年4月29日、米国大統領へトランプ氏が就任100日目を迎えました。
4月29日は昭和天皇の生誕日、「昭和の日」でもありますね。
ヒラリー・クリントン氏に勝利した大統領選を覚えているという方も
沢山いらっしゃると思いますが、
彼が大統領選で見せた目を見張る演説は衝撃的でした。
あれから100日。
彼が与える市場への影響は
かなり大きくなっていると言えるでしょう。
ちなみに、トランプ政権の政策履行状況は
現在どのようなことになっているかご存知でしょうか？
トランプ氏の政策履行状況によって相場は大きく変わります。
本日は就任100日目を迎えたトランプ政権が
今後の為替相場に与える影響について見ていきたいと思います。
まず最初に、なぜ就任100日目で
これほどまで騒がれているのかお話ししたいと思います。
ただ区切りが良い数字という訳ではなく、
大統領が就任してから100日間はハネムーン期間と呼ばれる期間で
少々失敗しても批判されにくい時期なのです。
ハネムーン期間（ハネムーンきかん）とは、近代の民主主義政治において、
政権交代後の新政権の最初の100日間のことを指す。
発足直後の新政権は一般的に高い支持率を示す傾向があり、
新政権の最初の100日と国民・マスメディアの関係を
新婚期（蜜月）の夫婦になぞらえて名付けられた。
アメリカ合衆国では報道機関のみならず野党も、
この100日間は新政権に対する批判や性急な評価を避ける紳士協定がある。
このように、新聞、テレビなどのメディアでも
『見習い期間、研修期間』という暗黙の了解があります。
日本の場合は、新総理大臣就任直後から
バッシングや批判の声があがることいったことがありますが、
この辺は米国の方が紳士的であることがわかりますね。
ですが、これまではメディア、野党なども多少のことには
目をつむっていたかもしれませんが、
ハネムーン期間が終了した今後はこれまでのようにはいきません。
一人前の大統領と見られて政策が失敗したらしっかり批判されますし、
成功しても当たり前だと思われてしまうということです。
特に、トランプ氏は大統領になる前から
批判的な意見も少なくありませんでしたから、
見習い期間、研修期間が過ぎたこれからは
トランプ氏を見る世界の目は一層厳しくなるでしょう。
まず気になるのがトランプ氏が大統領選の時から言い続けてきた
アメリカとメキシコの国境に作る万里の長城ですが、
あまり上手くいっていないようです。
現在、アメリカとメキシコの国境はフェンスが存在するというだけで
フェンスに穴を空けたり、フェンスをよじ登る等少々工夫すれば
メキシコからアメリカに不法入国するのは難しいことではありません。
実際、アメリカで農業をしている方の50%前後が不法入国者ですから
無視できない問題だといえます。
ちなみに、アメリカとメキシコの国境全てに万里の長城を築くならば
150億ドル前後、日本円で1兆7000億円前後の費用が必要ですが、
トランプ氏はまずはアメリカが全額負担するが
後でメキシコに全て出させると言っています。
貧しいメキシコ人が豊かなアメリカに不法入国して
出稼ぎのようなことをしているので当然と言えば当然ですが
メキシコのエンリケ大統領は、このトランプ氏の意見に同意していません。
それだけでなく、この発言があってからエンリケ大統領は
アメリカ訪問と首脳会談を中止にしました。
トランプ氏の気持ちは分かりますが、500億ドルもの大金を
すぐに払えるほどメキシコは豊かではないということです。
このような大規模な政策を発表しましたが、
メキシコ側は払う意志がないのでどうなるのでしょう。
アメリカが一方的に作ってもメキシコが払わなかったら
アメリカの大赤字ということになります。
実際に2017年5月2日現在で、
トランプ氏の万里の長城が実現する可能性は
かなり低いといわれています。
これと同じようなことが最近韓国でも起こっています。
トランプ氏が韓国政府へ韓国に駐留するアメリカ軍の
新型迎撃ミサイル（THHAD）の設置費用10億ドル、
日本円で1100億円前後を韓国が負担するように請求しました。
北朝鮮を韓国で迎撃する為のものなので韓国が払えということでしょうが、
韓国側は10億ドルを負担することを承諾しませんでした。
先ほどのメキシコの万里の長城にしても、
今回の韓国の新型迎撃ミサイルにしても、
アメリカが少々一方的だと感じる方も少なくないでしょう。
トランプ氏の政策は先走っているようですが、
新型迎撃ミサイル（THHAD）の問題は他にもあると言われています。
アメリカを共通の敵として、
韓国と北朝鮮が協力して戦争になるのではないかという懸念もあり、
トランプ氏の政策の現状を見ていると可能性はゼロではないかもしれません。
実際、アメリカと北朝鮮の関係は一触即発状態で、
2017年の4月25日にアメリカの原子力空母、原子力潜水艦が韓国に到着し、
4月29日に北朝鮮が弾道ミサイルを発射しました。
この弾道ミサイルは失敗して北朝鮮内陸部に落ちましたが、
もし日本やアメリカに落ちていたら、戦争になってもおかしくありません。
現時点で米韓関係の確執は収束していませんから
今後も目が離せないことは言うまでもありません。
さらに、アメリカと韓国の問題はそれだけでは無く
2017年4月27日、米韓FTA(米韓自由貿易協定)の見直し
または撤廃をするというトランプ氏の発言も注目を集めています。
これも、韓国側にとって不利になる交渉ですが、
米韓FTA(米韓自由貿易協定)は元々
アメリカにとって不利な条件での協定となっていました。
ですが、米韓FTA(米韓自由貿易協定)を発行してから5年間で
対韓国の貿易赤字が145億ドルも増えているといわれています。
日本円に直すと160兆円前後なので無視できない数字でしょう。
元々アメリカに不利な協定といっても
米韓FTAが見直しまたは撤廃となってしまえば
韓国側はさらに危機的な状況に追い込まれることになります。
今回のトランプ氏の発言は韓国の相場にも影響を与えており、
ウォン高ドル安が進み、他国の通貨に比べてウォンの実際価値を示す
実質実効為替レートが約9年ぶりに最高値を記録しています。
さらに、トランプ氏は韓国自由貿易協定で思い切った政策をしましたが
北米自由貿易協定(NAFTA)は現在どのような状況なのか見ていきましょう。
トランプ氏は大統領就任前から、
NAFTA(カナダとメキシコとの自由貿易協定)の
再交渉を行う発言をしていました。
トランプ氏がNAFTAの再交渉を望む理由は、アメリカでの雇用を増やすためです。
例えばメキシコやカナダがアメリカに輸出する際に
関税がかかるようになれば、メキシコやカナダの企業がアメリカに進出し
関税がかからないアメリカ国内での生産が加速するというわけです。
物の消費量はメキシコやカナダに比べれば
アメリカの方が圧倒的に多いわけですから、
NAFTAの再交渉はアメリカにとって有利な政策と言えます。
その上で、トランプ氏は2017年4月27日に
『NAFTAの再交渉をするが最悪の場合、NAFTAを撤廃する』
と発言しており、メキシコ、カナダの株と通貨が下落。
ですがその後、アメリカのホワイトハウスは
「NAFTAの再交渉はしたいが離脱するつもりはない」という発表をし
トランプ氏はTwitterで「NAFTAの交渉が上手くいきそうだ」という
ツイートをしています。
アメリカのNAFTA離脱はメキシコ、カナダにとっても
不利な状態になることは明白ですから
両国としては少々妥協してもアメリカのNAFTA離脱を
回避したいところでしょう。
このように、為替市場に対するトランプ氏の影響力は絶大ですので
今後も彼の動向には目が離せませんが
今回取り上げたトランプ氏の政策は
上手くいっているとは言えない部分が大きいのかなと思います。
NAFTAが上手くいったように見えますが
就任前は離脱すると言っていましたので
再交渉できたとしても成功とはいえないでしょう。
メキシコ、韓国への要求は一方的な面が強いですし
NAFTAは少々力ずくで再交渉に出ている感も否めません。
これまでの一連の流れから、トランプ氏の発言の信用度は
徐々に落ちてきているということもまた事実ですし、
トランプ政権に対する反対勢力が強まってきた頃に
アメリカの信用が傷つくような大きな出来事がおこれば
ドル安になる可能性も大いにあり得ます。
現在のトランプ相場は非常に不安定であると言えますし
今後の相場がどのように動くかを予想することは
まだまだ難しい場面が多いのが現状です。
特にファンダメンタルズトレーダーは
今後のトランプ氏の動向に要注意しておきたいところです。
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